超難解!漢字入門 〔一〕
超難解!漢字入門
~これでアナタも漢字博士~
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難解漢字の入門講座です。谷口式連想記憶術で、難しい漢語がすぐに覚えられます。漢字に興味がおありの方だけ、ごらんください。
なお、ワードかなにかにコピー&ペーストして、せめてフォントサイズを12ポイント以上にして、お読みいただくのがベストです。画数の多い漢字はつぶれちゃってますので。
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割とポピュラーなところから行きます。『讒誣(ザンブ)』から始めましょう。意味は、嘘や悪口を言い立てて人をおとしめること。讒の字は、同じ意味の熟語『讒謗(ザンボウ)』でも使いますね。こちらの方が、さらにポピュラーでしょうか。この謗の字は『誹謗中傷』の謗です。ここまでくると、ちっとも難解ではありませんけども。嘘や悪口を告げぐちすることは『讒言(ザンゲン)』ないしは『讒訴(ザンソ)』といいます。これが讒の字のレパートリー。一方、誣の字を使った『誣告(ブコク)』というのも、嘘を告げぐちをすることですから同じ意味。『誣(シ)いる』という動詞もありますね。意味は、これまた讒誣することです。『誣言(ブゲン/フゲン)』とかもそう。
四字熟語では『罵詈(バリ)讒謗』なんてのがよく使われます。罵の字も詈の字も「ののしる」という意味。あざけりののしるのは『嘲罵(チョウバ)』、はげしくののしるのは『痛罵』、ののしりたおすのは『罵倒』です。
ところで、讒の字の右側、どうなっているのか分かります? 上にゴニョゴニョしたものを書いて、下は兔(ト)という字なんですけれども。『漢字源』によると、上のゴニョゴニョした奴も大ウサギという意味なんだそうです。兎(ト)、兔、菟(ト)、ぜんぶウサギという漢字ですが、形が微妙に違いますね。お分かりですか? ただし、菟の字だけは、本来違う意味があったものを通字しているようです。稲垣足穂の小説は『菟』ですね。
逃げ走るウサギは『脱兎』で、「脱兎のごとく」というと、非常に速いさまを表わします。じゃあ、逃げ走るネズミはご存知ですか? はい、それは『竄走(ザンソウ)』です。穴カンムリに鼠と書いて『竄』。これは穴に逃げこむネズミの会意文字ですな。『竄』の字には、かくれる、のがれる、という意味があります。「のがれる」は『遁れる』とも用字します。『遁走(トンソウ)』はのがれて走ること、追いかけられてにげることです。さっきの竄と合わせて『遁竄(トンザン)』にしても、逃げかくれるという意味。『遁』と同じ意味で『遯(トン)』という字もあります。逃げかくれる豚の意味かと思いきや、これは形声文字。『豚』は音符なのだとのこと。ややこしいですね。「にげる」は『迯げる』とも用字します(しかしこの用字には、さすがにお目に掛かったことがありません)。
豚トン拍子で行きましょう(はい、この用字は嘘ね)。噸(トン)は重さの単位のトンです。屯(トン)は、むらがる、集まる、という意味。「屯する」で「たむろする」と読みます。「むらがる/集まる」という意味の漢字には、シュウという音を持つものが多い。ざっと、集、衆、輯、蒐、聚、などを挙げることができます。集の字から見てゆきましょう。『蟻集(ギシュウ)』は、蟻のようにむらがり集まること。『蝟集(イシュウ)』も、ひとところにより集まること。『蝟』はハリネズミの意味で、ハリネズミの針の毛みたいに集まっているというわけです。衆の字は、多いという意味。『衆合(シュウゴウ)』とは、多くの人が集まることですね。『輯』は「雑誌を編輯する」などと使いますから、おなじみでしょう。よく『集』で通字されてしまいます。編輯というのは、つまり原稿なんかを集めてくることなんですね。『蒐』は『蒐集(シュウシュウ)』のシュウ。切手蒐集家とかの蒐集です。これまた「集める」の意。ラストの『聚』は、あまり見かけませんが、人々が小さく集まって住んでいる村は『聚落(シュウラク)』といいます。こいつも、すぐに集の字で通字されてしまう。まったく、『集』は罪作りな漢字です。先の『蟻集』だって『蟻聚』とも書くんですよ。
それから、『彙(イ)』の字も覚えておくとよいでしょう。音こそシュウではありませんが、これも「集める」という意味。言葉を集めたものは『語彙(ゴイ)』です。おもしろいことに、彙も、ハリネズミという意味なんですね。『彙纂(イサン)』は、分類・編輯すること。纂の字、『簒奪(サンダツ)』の簒と間違えんでくださいよ。下は「厶」じゃなくて「糸」です。『簒』の方は「うばいとる」という意味。『簒奪』は、目下が目上の位をうばいとることで、その時に殺しちゃったんなら、それは『簒弑(サンシイ)』ないしは『弑殺(シイサツ)』です。弑の字、『論語』なんか読んでいるとよく出てきますね。「シイ」ではなく「シ」と読むこともあります。『弑逆(シイギャク)』も同じ意味。日本史上、唯一、弑殺された天皇は誰ですか? そう、蘇我馬子が暗殺した崇峻(スシュン)天皇ね。手をくだしたのは東漢直駒(ヤマトノアヤノアタイノコマ)という人。
屯の字にもどります。はいこれ、部首はなんだかお分かりですか。答えは「草ノ芽」というもので、これを横にふたつならべると『艸(ソウ)』の字になります。艸の字を見たことない方はおられませんね? だって、この字、草カンムリそのものですよ。『艸』イコール『草(ソウ)』です。ちなみに、卉(キ)という漢字がありましてですね、これは「草ノ芽」を『品』の字みたいにみっつならべたものの略字体。意味は「くさ」で、艸や草と同じです。『花卉』と書いてカキと読みます。草花のことです。「花き市場」という表記を見たことありませんか? 間違えて「ハナキイチバ」なんて読んではいけませんよ。これは「花卉市場」なんでして、卉の字が難しいからひらがなにひらいただけのことなんです。余計に難しくなっておりますけども。
ところで「そそくさ」って漢字で書けます? 「くさ」は「草」でいいのですが、「そそ」が難しいですね。正解は『楚々草』。辞書では見かけませんから、どうも当て字くさいですが。楚の字には、スッキリする、サッパリする、という意味があります。『清楚(セイソ)』は清らかでスッキリした様子のことですね。『酸楚(サンソ)』とは、つらく悲しいこと。この場合、楚の字は「ツーンと痛い」という意味です。
今日は、このぐらいでおわりにしておきましょう。物事のおわりは『婪尾(ランビ)』と申します。『婪』は、楚の字と形が似てますね。もう少しポピュラーな『婪』を使った言葉には『貪婪(ドンラン)』というのがあり、これは「貪欲なさま」という意味です。ちなみに「似る」という意味を持った漢字には『肖(ショウ)』があります。「肖る」は「あやかる」と読むことも、覚えておきましょう。ではでは。
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